「電気工事士2種はやめとけ」という声を検索で見かけて、資格取得や転職を迷っている人は多いはずです。結論から言うと、見習い期間の給料の低さや現場の体力的な負担が主な理由ですが、資格そのものの価値を否定する声ではなく、就職先の選び方や取得後のキャリアの立て方次第で評価は大きく変わる傾向があります。
電気工事士2種が「やめとけ」と言われる理由
まず押さえておきたいのは、「やめとけ」という声の多くが資格自体の難易度ではなく、取得後の現場環境や待遇に関するものだという点です。以下で具体的な理由を見ていきます。
見習い期間の年収の低さ
第二種電気工事士を取得しても、経験の浅い見習い期間の年収はおおむね250万円から400万円程度にとどまるという情報が複数の解説記事で共通して挙げられています。仕事の忙しさや責任の重さに対して報酬が見合わないと感じる人が一定数いることが「やめとけ」という評判の背景にあります。
一方で、資格手当は第二種で月額3,000〜5,000円、第一種を取得すると5,000〜10,000円程度が加算されるケースが多いとされ、上位資格の取得や経験年数によって給与は段階的に上がっていく構造になっています。
体力的な負担と事故リスク
電気工事の現場は屋外作業が中心で、夏場の暑さや冬場の寒さの中での作業、重い工具や配線材の運搬、高所での作業が日常的に発生します。感電や墜落といった事故リスクも常に伴うため、体力面・安全面のハードルを理由に「やめとけ」と言われることがあります。
特に新築工事の現場では立ちっぱなしでの作業や、狭い天井裏・床下での配線作業が続くこともあり、体力に自信がないまま入職すると早い段階で辛さを感じやすい仕事だと言えます。
現場での立場の低さと人役業務
建設現場では電気工事が後工程に位置づけられることが多く、前工程の遅れのしわ寄せを電気工事士が受けやすいという構造的な問題が指摘されています。また作業量が「人数×日数」で決まる人役業務の仕組みのもとでは、経験不足の段階では残業や休日出勤が発生しやすくなります。
給料や待遇への不満は会社ごとの差が大きいため、同じ資格でも所属先次第で評価は変わります。求人票の年収レンジだけでなく、資格手当や出張手当の有無まで確認すると実態が見えやすくなります。
資格取得後に直面する現実とのギャップ
試験に合格したことと、現場で通用する技術を持っていることは別の話です。取得後に感じやすいギャップについて整理します。
試験合格と現場スキルの差
第二種電気工事士の試験は筆記・技能ともに独学で十分合格を狙える難易度とされていますが、合格はあくまで「スタートラインに立った」段階にすぎません。実際の配線工事や設備の不具合対応は現場での経験を積んで初めて身につくスキルであり、このギャップに戸惑う新人が少なくないようです。
特に技能試験は決められた作業を時間内に正確に仕上げる練習を積んでいれば合格できますが、実際の現場では図面通りに進まない配線や、既存設備との整合性を考えながら作業する場面が多く、教科書的な知識だけでは対応しきれない場面に直面しやすくなります。
職業訓練校経由の早期離職の実態
職業訓練校を経由して電気工事会社に就職したものの、現場のギャップや体力的な負担から「3日程度で辞めてしまう」というケースが複数報告されています。資格を取ってすぐに一人前として扱われるわけではない点を理解しておくことが、早期離職を避けるうえで重要です。
未経験から入る場合は、研修制度や先輩による同行期間がどの程度用意されているかを面接時に確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。
掛け持ち・転職時に知っておきたい注意点
電気工事士2種は他の国家資格と比べて取得しやすい一方、待遇面では比較検討しておきたい点もあります。ここでは合格率や求人動向といった、意外と見落とされがちなポイントを紹介します。
他の難関国家資格と合格率を比べると、第二種電気工事士の取りやすさが分かります。
| 資格 | 合格率の目安 |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 60%前後 |
| 宅地建物取引士 | 15%前後 |
| 税理士 | 15%前後 |
資格手当や出張手当の実態
資格手当に加えて、出張を伴う工事では出張手当が支給される会社もあります。月1回程度の出張で日当12,000円が支給され、年間で43万円から54万円ほどの追加収入につながった例も紹介されており、勤務先によって収入の上乗せ幅は大きく異なります。
転職・独立時の注意点
電気工事士の有効求人倍率は約3.8倍とされ、人手不足の業界であるため転職市場では有利に働きやすい資格です。ただし転職先を選ぶ際は、建設業界だけでなく製造業の設備保全やビル管理など、電気工事以外の活躍先も含めて比較検討すると選択肢が広がります。
複数の会社で経験を積んでから独立を目指す人も多く、その場合は電気工事士の資格に加えて施工管理系の資格を取得すると、年収レンジがさらに上がりやすい傾向があります。掛け持ちで別の建設系資格の勉強を進める場合は、実務経験の年数条件を先に確認しておくと計画が立てやすくなります。
求人倍率が高いからこそ、複数社の求人条件を比較してから決めるのがおすすめです。同じ資格でも会社によって手当や現場環境の差が大きく出ます。
それでも電気工事士2種を取る価値がある理由
「やめとけ」という声がある一方で、資格そのものの需要や将来性を評価する意見も多くあります。向き不向きを踏まえて判断することが大切です。
需要の高さと将来性
電気設備はあらゆる建物に必要なインフラであり、需要が途切れにくい仕事です。加えて太陽光発電やEV充電設備など、脱炭素関連の設備工事需要が増えているとされ、今後も一定の仕事量が見込める分野と言えます。製造業の設備保全など建設業以外の職場が全体の約4割を占めるという情報もあり、活躍先の幅は年々広がっています。
また電気工事はAIによる自動化が難しい実作業を伴うため、他の事務系職種と比べて技術が急速に代替されにくいという見方もあります。長期的に安定した需要が見込める点は、資格取得を検討する上でのプラス要素として押さえておきたいところです。
向いている人の特徴
体力を使う屋外作業に抵抗がなく、手に職をつけて長く働きたいと考えている人には向いている資格です。また、独学で取得を目指せる難易度のため、まずは資格だけ取っておいて将来の選択肢を広げたいという人にも適しています。
資格取得後すぐに独立や転職を考えるのではなく、まずは現場経験を積んで第一種電気工事士など上位資格を目指すと、待遇面の不満も徐々に解消しやすくなります。
まとめ
電気工事士2種が「やめとけ」と言われる背景には、見習い期間の給料の低さ、体力的な負担、現場での立場の低さといった具体的な理由があります。しかし合格率の高さや独学での取得しやすさ、業界を問わず需要が高いことを踏まえると、資格自体の価値は決して低くありません。就職先の待遇や研修体制をしっかり比較したうえで判断すれば、後悔のない選択につながりやすいでしょう。
